ポンプの修理・はんだ付け~BURUMOS №21 Touring~
先日届いたイギリス製の古いケロシンストーブ。
いつもの様にメンテすべく、まずはNRVを取り外しにかかります。
すると…
パキッ!
ちょい固いなと思い力を加えた瞬間、嫌な音と共に手ごたえが無くなり、
それと同時にタンクの中でカラコロと金属音。
これはあれだ、ポンプ先端のNRVと固定している円盤のハンダが外れてしまったな…
時折こういう風にはんだ処理の甘い個体があるんですよね。
さて、修理するか~!
そういうわけで、作業にかかります。
修理方法はいたって簡単。
ポンプ接合部のハンダを炙り引き抜いたのち、
先端の円盤をはんだ付けして、その後またポンプをタンクにはんだ付け。
ですがいくつか、コツというか注意点がありますので順番に。
①ポンプ引き抜き

・必要以上の加熱は、他のパーツのはんだが取れてばらばらになってしまいますから、
予防のために他のパーツを濡れ雑巾でカバーします。
(熱を加えたくない部分にアルミホイルを巻いておくのも効果があります。)
・ポンプロッドから皮カップを取り除き、ポンプに取り付けます。
・後は接合部を最小限度炙り、ロッドを小刻みにクンクンと引っ張るときれいに抜けます。
(接合部から溶けたハンダがにじんできたら抜き頃です。)
②分解・清掃

パーツはばらして、次回の組み付けのため洗浄脱脂しておきます。

このNRVが固定されている部分が、本来ポンプスリーブ(筒)の先端につきます。
組み直す前にNRVを取り外さねばなりません。

NRVの先端のホルダー(筒)部分を取り外したのち、
潤滑浸透剤に丸一日浸したのち、バイスとバイスプライヤーを使用して緩めました。
今回はこれで無事外れましたが、これでも無理ならトーチで炙るなども必要です。
ばらせた部品は、酸とブラシ、パーツクリーナーなどで洗浄・脱脂を済ませておきます。
③はんだ付け

まずはポンプ部先端。
ネジ部にはんだが流れないように注意しつつ作業し、
作業後はNRVを組み込んだのち、水中で息を吹きこんだりして圧漏れが無いことを確認する。
ポンプスリーブに付着している余分なハンダをやすりで取り除きタンクにセット。

取り外し時同様ガードしながらネジ部にはんだが行かないように気を付けて作業。
(ロッド固定用のキャップをねじ込んでおくと、ネジ部のガードにもなります。)
その後NRVをセットし、加圧して圧漏れが無くば完了です。
実は今回この時少し気になることがありました。
というのも、このNRVをセットする際、せっかくだからと手持ちの新品を組みつけたのです。
その後加圧しチェックすると、「あれ?漏れてる?」。
組みつけ時の感触に違和感もなかったので、不良品かな??
そこで取り外してチェックするもおかしいところはどこもない。
念のため他のストーブに取り付けると、圧漏れもせず何の問題もない。
そこでもともとついていたものとじっくり見比べるも、
眼で見てわかる差異は見られない…
仕方がないので、もともとのNRVに新しいゴムをセットし仕組み直すと、
圧漏れもなくいい感じ。
そう言えば、イギリス製は、ニップルなどでも微妙に独自の規格の時がありますから
どこかに微妙なサイズの違いがあったのでしょうか?
さて、これで取りあえず作業完了。
ではテストテスト♪

おお~!迫力満点!
というわけで、この子も無事復活完了できたので、
後になりましたが自己紹介♪

実はこのストーブの正体は、
英国製 「BURUMOS №21 Touring」
恐らく1950~70年代ごろの製造です。
サイズ的には、OPUTIMUS00やPRIMUS201、RADIUS21とほぼ同じサイズ。
(この数字の表記、統一してくれれば分かりやすいのにね。)
ソロでも、数人のパーティでもこなせる、最も使いやすいサイズですね。
実は先日愛用していたOPUTIMUS00を友人に譲ったと同時に手元に来たので、
これからはこれを愛用しようかと復活させていたのでした。
ふっくら、まるまるとした00のタンクは可愛らしく魅力的でしたが、
こいつの角ばり、反りのあるエッジのきいたタンクもなかなかに武骨でよい!
だから磨かずに、ガンガン使い倒してやるつもり♪
さて、英国製といえば…

英国製のケロストによくみられるバーナートップ中央にあるマイナスネジ。
これを外せば、あの面倒で入り組んだローラーバーナーの足を避けつつ、
専用工具でグリグリ回さずとも、もっと楽ちんにニップルの脱着ができる!
実は、ニップルへのアクセスを容易にするためのこのねじはBURMOSの特許!(だそうです)
やるな~!
ただし、確かに脱着の際は非常に便利ですなのが、
固着したものを取り外す場合は、この穴に合うレンチは強度が落ちるので、
普通のユニバーサルタイプの方が使い勝手が良かったりします。
でも、やはり普段使いにはとても便利!
またゴトクの上のすべり止めのギザギザ加工も英国製に多く見られます。
こういう気づかいというかこだわりが意外な気もしますが、
思えば勝手は「世界の工場」であったわけで、
モノ作りにこだわるのはお国柄なんでしょうね。
ん?
いや待て、もう一つこいつはやっとかいないと(やっておかねば)いけないことがあった!
というわけで次回に続く。
*追記*
このストーブが作られた1950年代以降時は世界的にこの手のストーブは下火に向かう頃でした。
ですので、それらを製造するメーカーも、吸収合併・統廃合と激動の時期であり、
結果、一つのメーカが複数のブランドを持つことも少なくありませんでした。
(オプティマス社のプリムス、スベアなどがその代表)
そういうわけで、もともと鉄鋼業が盛んで、
ストーブ黎明期に数多くの製造メーカーが出現したイギリスでもそれは当然起こり、
多い時には200を超えたメーカーも最終的には数社にまで絞られたようです。
だからこのBURUMOSというのも実はブランド名で、
製造していた会社は Townson & Coxson.という会社。
で、さらに言うならそこも鉄鋼加工・工作機械製造を主にするMacrome社の一部門であったようです。
そういうわけで、さきほどバーナートップ中央のねじをBURMOSの特許と書きましたが、
正確に言うならば、その当時その特許を取得していたのが、
BURMOSの製造販売権を持っていた会社、という言い方の方が正しいですね。
なんせ、このトップのネジは、イギリス製ストーブには当たり前のように見られますから。

無論軍用のハーロックにも。
いつもの様にメンテすべく、まずはNRVを取り外しにかかります。
すると…
パキッ!
ちょい固いなと思い力を加えた瞬間、嫌な音と共に手ごたえが無くなり、
それと同時にタンクの中でカラコロと金属音。
これはあれだ、ポンプ先端のNRVと固定している円盤のハンダが外れてしまったな…
時折こういう風にはんだ処理の甘い個体があるんですよね。
さて、修理するか~!
そういうわけで、作業にかかります。
修理方法はいたって簡単。
ポンプ接合部のハンダを炙り引き抜いたのち、
先端の円盤をはんだ付けして、その後またポンプをタンクにはんだ付け。
ですがいくつか、コツというか注意点がありますので順番に。
①ポンプ引き抜き

・必要以上の加熱は、他のパーツのはんだが取れてばらばらになってしまいますから、
予防のために他のパーツを濡れ雑巾でカバーします。
(熱を加えたくない部分にアルミホイルを巻いておくのも効果があります。)
・ポンプロッドから皮カップを取り除き、ポンプに取り付けます。
・後は接合部を最小限度炙り、ロッドを小刻みにクンクンと引っ張るときれいに抜けます。
(接合部から溶けたハンダがにじんできたら抜き頃です。)
②分解・清掃

パーツはばらして、次回の組み付けのため洗浄脱脂しておきます。

このNRVが固定されている部分が、本来ポンプスリーブ(筒)の先端につきます。
組み直す前にNRVを取り外さねばなりません。

NRVの先端のホルダー(筒)部分を取り外したのち、
潤滑浸透剤に丸一日浸したのち、バイスとバイスプライヤーを使用して緩めました。
今回はこれで無事外れましたが、これでも無理ならトーチで炙るなども必要です。
ばらせた部品は、酸とブラシ、パーツクリーナーなどで洗浄・脱脂を済ませておきます。
③はんだ付け

まずはポンプ部先端。
ネジ部にはんだが流れないように注意しつつ作業し、
作業後はNRVを組み込んだのち、水中で息を吹きこんだりして圧漏れが無いことを確認する。
ポンプスリーブに付着している余分なハンダをやすりで取り除きタンクにセット。

取り外し時同様ガードしながらネジ部にはんだが行かないように気を付けて作業。
(ロッド固定用のキャップをねじ込んでおくと、ネジ部のガードにもなります。)
その後NRVをセットし、加圧して圧漏れが無くば完了です。
実は今回この時少し気になることがありました。
というのも、このNRVをセットする際、せっかくだからと手持ちの新品を組みつけたのです。
その後加圧しチェックすると、「あれ?漏れてる?」。
組みつけ時の感触に違和感もなかったので、不良品かな??
そこで取り外してチェックするもおかしいところはどこもない。
念のため他のストーブに取り付けると、圧漏れもせず何の問題もない。
そこでもともとついていたものとじっくり見比べるも、
眼で見てわかる差異は見られない…
仕方がないので、もともとのNRVに新しいゴムをセットし仕組み直すと、
圧漏れもなくいい感じ。
そう言えば、イギリス製は、ニップルなどでも微妙に独自の規格の時がありますから
どこかに微妙なサイズの違いがあったのでしょうか?
さて、これで取りあえず作業完了。
ではテストテスト♪

おお~!迫力満点!
というわけで、この子も無事復活完了できたので、
後になりましたが自己紹介♪

実はこのストーブの正体は、
英国製 「BURUMOS №21 Touring」
恐らく1950~70年代ごろの製造です。
サイズ的には、OPUTIMUS00やPRIMUS201、RADIUS21とほぼ同じサイズ。
(この数字の表記、統一してくれれば分かりやすいのにね。)
ソロでも、数人のパーティでもこなせる、最も使いやすいサイズですね。
実は先日愛用していたOPUTIMUS00を友人に譲ったと同時に手元に来たので、
これからはこれを愛用しようかと復活させていたのでした。
ふっくら、まるまるとした00のタンクは可愛らしく魅力的でしたが、
こいつの角ばり、反りのあるエッジのきいたタンクもなかなかに武骨でよい!
だから磨かずに、ガンガン使い倒してやるつもり♪
さて、英国製といえば…

英国製のケロストによくみられるバーナートップ中央にあるマイナスネジ。
これを外せば、あの面倒で入り組んだローラーバーナーの足を避けつつ、
専用工具でグリグリ回さずとも、もっと楽ちんにニップルの脱着ができる!
実は、ニップルへのアクセスを容易にするためのこのねじはBURMOSの特許!(だそうです)
やるな~!
ただし、確かに脱着の際は非常に便利ですなのが、
固着したものを取り外す場合は、この穴に合うレンチは強度が落ちるので、
普通のユニバーサルタイプの方が使い勝手が良かったりします。
でも、やはり普段使いにはとても便利!
またゴトクの上のすべり止めのギザギザ加工も英国製に多く見られます。
こういう気づかいというかこだわりが意外な気もしますが、
思えば勝手は「世界の工場」であったわけで、
モノ作りにこだわるのはお国柄なんでしょうね。
ん?
いや待て、もう一つこいつはやっとかいないと(やっておかねば)いけないことがあった!
というわけで次回に続く。
*追記*
このストーブが作られた1950年代以降時は世界的にこの手のストーブは下火に向かう頃でした。
ですので、それらを製造するメーカーも、吸収合併・統廃合と激動の時期であり、
結果、一つのメーカが複数のブランドを持つことも少なくありませんでした。
(オプティマス社のプリムス、スベアなどがその代表)
そういうわけで、もともと鉄鋼業が盛んで、
ストーブ黎明期に数多くの製造メーカーが出現したイギリスでもそれは当然起こり、
多い時には200を超えたメーカーも最終的には数社にまで絞られたようです。
だからこのBURUMOSというのも実はブランド名で、
製造していた会社は Townson & Coxson.という会社。
で、さらに言うならそこも鉄鋼加工・工作機械製造を主にするMacrome社の一部門であったようです。
そういうわけで、さきほどバーナートップ中央のねじをBURMOSの特許と書きましたが、
正確に言うならば、その当時その特許を取得していたのが、
BURMOSの製造販売権を持っていた会社、という言い方の方が正しいですね。
なんせ、このトップのネジは、イギリス製ストーブには当たり前のように見られますから。

無論軍用のハーロックにも。